前夜、カルカッタでの疲れが取れずなかなか寝付けなかった。
今朝、遅く起きる。体調が悪い。 昼と夕方以外は寝て過ごした。 昼、体を洗う。水が黒い。カルカッタへ行くといつもこうだ。 今、インドは冬。かなり寒い。 シャワーは水しか出ないので、体は昼に洗う。 昨日は、体を洗う事が出来なかった。寝る時も不快だった。 さっぱりする。 昼、ママ氏の元へ。トイレプロジェクトについて話す。 今日、間違いなくアマル氏と話す事になるという。 毎日じりじりと進む。ゆっくり。 バスストップの公衆便所についても話す。 候補地は、ロキカンタプル・クルピ・シッディベリヤ・ガッベリヤ。 懐かしい名前だ。全てモチベーターと回った。 ガッベリヤは、特に印象に残っている。この市場でトイレを作る着想を得た。 公衆便所は、やはり少し費用が高い。しかし、現在の寄付金額ならば不可能ではない。 問題は、土地。バスストップの周辺は政府、あるいは市場のショップキーパーの土地である。 農村の民家にトイレを建設するのとは少し勝手が違う。 NGOのリーダーであるカピラに俺の口から相談すべきである、とママ氏は言った。 了解。 夕方、再びママ氏の元へ。アマル氏とのミーティングについて。 まずは費用が明らかになった。5000ルピー以内。 予定していた4000ルピーよりも1000高い。寄付の集まりが良い事から、少しグレードがアップした。 明日、さらなる詳細をアマル氏から出してくれるそうだ。 正直、技術的な部分は解らない。知っておくべきなのかどうかも、俺にはまだ解らない。 いずれにせよ今回は、インド人技術者が施工する。 夜、リーダーのカピラと話す。バス停の公衆便所について。 そもそもまだ提案の段階。自分とママ氏の考えを伝える。 さすがに理解が早く、バス停にトイレと言った時点で候補地が出てくる。 良い考えである、との回答。土地に関するアドバイスをもらう。 バス停がある街の住人達の協力が必要である。彼らショップキーパー、あるいは住人の同意を得る事が出来れば、土地の問題は解決するであろう、との事。 なるほど。以前見学した市場清掃プロジェクトでは、ショップキーパーが掃除人の費用の半額を負担していた。実際にそこで生活を営む人々との協力の下で行う事は確かに必要だ。トイレを使うのは彼らで、管理もおそらく彼らが行う事になるのだから。流石にためになる。 ならば次のステップは、実際にバス停を訪問し、周囲の住人に自分の考えを伝える事となる。 明日、ママ氏と相談してみよう。 文章にすると簡単だが、そんな事本当に出来るのか、という感じもする。 でも、少しワクワクしている。 ワクワクしている、と書いたが、少し胸の奥に引っかかる物が有る。 現在15000ルピーの寄付が有るわけだが、全て農村のトイレに投資するならば、貧困状態にある3つの家庭にトイレを設置する事が出来る。 おそらく、それぞれの家族の人数は5人から10人程。合計20人程がトイレを使う事になる。 バス停にトイレを作れば、遥かに多くの人がトイレを使う事になるだろう。 費用対効果を考えれば、明らかに後者を選ぶべきである。 しかし、本当にそれでいいのだろうか。 自分は、モチベーターとのクライアント訪問の中で、沢山のインド人と出会った。 その中には、NGOの開発プロジェクトや国のプロジェクトの対象とならない、あるいはなる事の出来ない本当の貧困層も居た。 彼らは今自分が所属するNGOのクライアントではない。親しくなった職員が彼らの家に連れて行ってくれたのだ。その職員がどういった意図で俺を連れて行ったのかは解らない。 しかし、彼ら本当の貧困層は、恐ろしく低い収入で、凄まじく小規模の生活を営み、開発の対象にもならず、ただそこに存在していた。働き手を亡くした家族や、身体障害者、精神障害者を抱えた家族が多かった。 NGO、例えばマイクロファイナンスのNGOは、ある程度返済が見込めるクライアントを対象にする傾向がある。彼らは対象となりにくい。NGOのリーダーであるカピラも、それは自分たちには困難であると明言した。 俺は、一件目のトイレを働き手を亡くした未亡人の家族の家に作る。 そして二件目のトイレをバス停に作ろうとしている。 俺は、衛生環境が少しでも向上する事を目的にトイレを作る事を決めた。 しかし同時に、開発プロジェクトの対象となりにくい彼ら本当の貧困層を対象に、プロジェクトを行いたいとも考えていた。 バス停や市場は、彼ら貧困層も当然利用する。しかし、何か彼らの公衆便所に対するアクセスを阻害する要因があったらどうだろうか。調査も何もない。わからない。 どちらが本当に彼らの為になるのか。 どちらを選ぶべきなのか。まだ、わからない。
by kakasi0907
| 2005-01-09 04:25
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