人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2月6日 母妹来印

死が確実に訪れるという事と、死の後が無であるという事は、人生の目的を定めはしない。
無限の生への憧れにも、有限の生の現実にも束縛される事無く、ただ日一日を真剣に生きられたらいいと思う。
そんな事を唐突に思った。

朝4時半に起きてカルカッタへ向う。母と妹を迎えに行く為だ。
8時25分着の国内線で到着するという事で、約3時間前に車で行く。
解っていた事だが死ぬ程眠く、道中寝てばかり居た。
なじみのドライバーと行く事になるかと思ったが、突然初対面のドライバーに変更。更に同行するはずだった職員が来れなくなった。ドライバーは英語が喋れなかった。少し不安になる。
8時20分、カルカッタ空港国内線出口に到着する。飛行機は既に到着していた。荷物を持って出てくるのを待つ。
10分後、母と妹が登場する。カルカッタに母がやって来てしまったと言う事実は、曙とボブサップが戦ったような異次元空間を感じさせた。
母と妹はインド人のガイドを連れていた。日本大使館に勤めていた経験があるそうだ。話した感じ信用出来そうだった。
ガイドと明日の待ち合わせを確認し別れ、車でオフィスへ向う。
カルカッタの町並みに母と妹から感嘆の声が上がる。汚い。空港周辺は高級住宅街できれいな方であると説明すると、ほう、と驚いていた。
住宅街を過ぎ都市部スラム街を通ると、なるほどよくわかった、という反応が返って来た。路上に寝転ぶ狂人や、牛と戦う少女達を写真に収める妹。
都市部を過ぎ郊外の雑踏を進む。細い道が入り組み、すさまじく狭い空間にたくさんの店が並びぎっしり人が詰まっている。車は渋滞し全く進まない。鈴なりに見つめる視線が針の様に突き刺さる。インドの日常と混沌のリアルに母は先ほどからほうとか、はぁとかしか言わない。
郊外を過ぎ、農村部に達する。遙広がる田畑にたくさんの牛達。巨大なわらの束を頭の上にのせて歩く娘達。母と妹から感激の声が上がる。
4時間。ようやくオフィスへたどり着く。結構な長旅になった。

オフィスで歓待を受けた後、近くで開かれていた陸上競技会を見学する。主催はウチのNGO。表彰状の授与で母が指名され、選手に商品を手渡した。俺と妹はひたすら笑っていた。
昼食をオフィスで採る。山羊のカレーが出た。俺も食べるのは初めてだ。日本からの客人という事で特別に用意してくれたらしい。料理番の職員と仲良くしておいて良かった。
母と妹も気に入ったようで、何杯もお替わりした。俺はインド人と仲良くする為によく青唐辛子を食べるが、母が全く同じ行動を取り驚いた。妹はお菓子がいたく気に入ったようで、いくつも食べていた。太るぞ。
昼食後自転車を借りてトイレを見に行く。ママ氏と連れ立って行く。見学、そして寄付者に見せる写真を取る為だ。
現場に着くと娘達が出迎える。トイレを見学し、何枚も写真を撮る。最後に家族と近隣の住民、そして俺と母妹ママ氏で写真を撮る。一人入ろうとしない女の子が居た。以前ここにトイレを作ってくれ、と自分の手を引いた女の子だった。すこし目眩がした。
母に事情を正直に話した。そうか、という反応が返って来た。多分逆の立場でも同じ反応を返すだろう。俺が自分で考える。

オフィスへ帰った後、様々な話をする。たわいもない話から、将来の話まで。
成長した姿を見て安心した。ガイドも一目見て褒めていた。ここまで来たら好きにやれ、とことんやれ。との答えが返って来た。父も母も妹も同じ意見だと言う。ならば、とことんやらせてもらう。

今日は疲れ果てた。
明日は朝シッディベリヤへ行き、二つ目のトイレ設置場所を母と妹に見せる。
そしてそのまま再びカルカッタまで母と妹を送り届ける。
がんばろう。
by kakasi0907 | 2005-02-07 02:48


<< 2月7日 母 2月5日 シッディベリヤにて >>