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2月25日 緑

(『』内はすべてノルウェイの森から)
『僕は笑いはしなかったけれどあやうく椅子から転げ落ちそうになった。』

という一節を読み村上春樹にも若い頃があったのか、と思った。当たり前の事だが。読んでいて俺が椅子からずり落ちそうになった。どうでも良い事ではあるが。

『うちの親戚ってみんな大病して苦しみ抜いて死ぬのよ。死ぬまでに凄く時間がかかるわけ。最後の方は生きているのか死んでいるのかそれさえわからないくらい。残ってる意識と言えば痛みと苦しみだけ。』
『私が怖いのはね、そういうタイプの死なのよ。ゆっくりゆっくりと死の影が生命の領域を浸食して、気がついたら薄暗くてなにも見えなくなっていて、まわりの人も私の事を生者よりは死者に近いと考えているような、そういう状況なのよ。そんなのって嫌よ。絶対に耐えられないわ、私。』

肉が土に還り、いきものに喰われ分解されて行くまでに、堪え難い苦しみが待っているのならば、俺はそれを怖れざるを得ない。死では無く、死の前の苦しみを怖れる自分はなんとなく奇妙だが、心のどこかで苦しみ無く死んで行ける事を望んでいる。これは正しい事だろうか。
母親に苦痛を与えながらこの世に生まれ出づる人という肉にとって、死の前の苦しみも生の一部として不可欠なものなのかもしれない。
死についてある一定の理解に小指の先が引っかかった感があるが、俺が今一番怖れているものは生の一部としての死ではなく、生の過程そのものだ。
自然な事だとは思うけれども。

今日はベットの上でじっとしていた。朝起きると体に力が入らなかった。この半月程慢性的に睡眠不足だった。今日まとめて寝る。
市場の公衆トイレに比べて、幼稚園のトイレは問題が少ない。市場のトイレが後は完成を待つのみとなった今、俺の仕事は激減した。だから寝ていても問題は無い。
そろそろ荷物を整理しなければならない。友人から借りた本が沢山有るが、持って帰るのが難しい。置いて行っても良いかメールを送ったが反応がない。困った。

明日はママ氏の家に昼食を食べに行く。楽しみだが少しだけ心配でもある。別れ、というものはとても難しい。

ベッドの中で、そろそろ自分の問題意識を整理する必要があると思った。
明日以降はおそらく問題意識に関する文章となると思う。この6ヶ月弱自分がやって来た事を振り返る事から始めようと思う。
社会疫学、という分野が気になって気になって仕方が無い。「不平等が健康を損なう」という本が有る。訳書だが読んでみたい。

社会疫学とは,健康の社会的決定因子(social determinants of health)を研究する分野である。治療技術の進歩や病気の遺伝子レベルの原因解明が健康に寄与するのは間違いないが。それだけが健康を決定するわけではない。貧困や所得格差などの社会的決定因子もまた健康に強く影響を与えるのである。

との事。以上引用。
最初から答えが用意されているようで、問題意識を整理する事の意義が損なわれる気もするが、とにかく気になっているものは仕方が無い。が、全く関係ない分野に問題意識が向く可能性は十分にある。貧困は本当に幅広い現象だ。すこし表現がおかしいか。

26、27、28が過ぎれば、もう3月1日だ。時の流れの早さに愕然とする。全く同じ速度でこの先の人生が過ぎ去って行くのだとしたらそれは幸福なのか不幸なのか。

追記:夕食を摂っている最中ママ氏がやって来た。明日は11:45にバイクで来てくれとの事。職員が送ってくれる。
「自分は貧乏だから大したもてなしはできないがいいか?」と聞かれ、「そんな事は決して気にしない」と答えた。俺もママ氏も少し悲しげな顔だったと思う。
帰って行くママ氏の背に「俺は招待されてとてもハッピーですよ」と叫ぶ。
明日は絶対に笑顔を絶やさない。そう思った。
by kakasi0907 | 2005-02-26 00:12


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