間違いないのは、「これおかしくねぇ?」「いったいなぜそうなるんだ?」に「じゃあどうしたらいいんだ?」という問いかけが加わったという事。
大きな問題が一つ。日本へ帰った後の住居だ。3月4日に都内にある寮の入寮試験を受ける。面接だ。留学生の多い寮で、面接ではインドでの体験を多いに語る事が出来ると思う。受ける前から勝ったつもりで居る迂闊さが恐ろしいが、受かるような気がする。落ちたら落ちたでまた新しい場所を探す。 問題は、その寮が4月1日からしか入居出来ないという事だ。実家に帰れば良いのだが、両親に今のいい流れを崩すな、家に帰って来たらだらけるだろ、と言われた。要するに帰って来るな、という意味なのだが。 一理ある。東京には友人が多い。やはり、今の自分にとって必要なのは、ゆっくりと休める空間ではなく、体験を共有する友人であると思う。その為には東京に居るのが都合が良い。 しかし、どうすれば良いのか。4月1日までどこで過すか。ウィークリーマンションでも捜すか。 昨夜、部屋を空けた際電気を消し忘れ、窓を閉め忘れた。部屋に戻ると部屋は惨憺たる有様となっていた。それはもう、虫だらけ。 いつも、寝床には蚊遣り網を吊るすのだが、これだけ虫が居ると余り役に立たない。特に小さな虫は網をすり抜ける。そして小さな虫に限って、血を吸う能力を持っている。 剛胆にも一度は熟睡したが、体中のかゆみで早朝目が覚めた。とりあえず部屋の中の虫はほとんど居なくなっていたので、布団と網を外ではたき、シャワーを浴びる。体中がボコボコだ。さっぱりして、もう一度寝る。 奇妙な夢を見た。何か建物の中で爆発が起こるシーンから始まる。どこか外国だったと思う。たぶん途上国。友人と俺が一緒に居て、爆発に飲み込まれて友人と離ればなれになった。数年後、テレビを見ていると、孤児院に関する番組がやっていた。その孤児院の建物から下半身と片腕を失った友人が現れ、教師をやっている、というようなインタビューを受けていた。ああ、あれは俺の友人だ、とその孤児院にすぐさま向う。孤児院は駅前にあった。どう考えても武蔵境駅。もうすぐ武蔵境駅、という時にその友人が駅の階段を上がって行くのが見えた。俺は、俺だ、と自分の名前を叫び、友人の名前を叫んだが、友人は電車に乗ってどこか遠くへ行ってしまった。駅の前でうなだれていると、何故かそこには後輩たちが酒盛りをしていて、インフルエンザにかかりました、と俺に言い、駅前のバスに乗る。バスは何故か別の友人が運転していて、インフルエンザにかかった後輩が吐き気を催すと、俺は窓を開けて外に向って吐け、という。すると、バスを運転していた友人が駄目だやめろ、と言う。が時既に遅く、後輩は吐瀉し、風に巻上げられた吐瀉物がバスの上に開いていた窓から俺の顔に霧吹きのようにかかったところで目が覚めた。 何故か、起きた瞬間イチゴイチエ、とつぶやいた。意味が分からないが、人生が掛替えの無いものに思えた。そして唐突に、吐瀉物は俺の手で受け止めれば良かったか、と思った。 朝、シッディベリヤに向う。トイレに色が塗られ、完成した。 予想していた通り、管理と清掃に関する問題が勃発していた。チャーイ屋の前で激論が始まる。なかなか纏まらない話し合いの中で、俺はひたすらシェアリングシェアリング、と叫び続ける事に。 紆余曲折の末、毎月始めにショップキーパーから合計100ルピーほど徴収し、管理と清掃の費用に充てる事になった。ショップキーパーは沢山居るため、個々人の負担額は小さい。元々ママ氏と俺でこうなると良い、と話していた通りのものになった。 問題は徴収の方法だが、幸いVSSUはマイクロファイナンスのNGOであり、クライアントから金を徴収する事に関してはプロフェッショナルだ。VSSUではモチベーターと呼ばれるそれぞれの地方出身の職員が、特定の地方のお金の回収を行っている。この地方を担当してる職員が、クライアントからの預金融資と同時に回収してくれる事になった。マイクロファイナンスのシステムは、様々な領域で応用が利きそうだ。更に言えば、マイクロファイナンスのNGOが社会開発にも取り組めば、より効率的に開発を行えるかもしれない。共有はお金の徴収が命、かも。 完成したトイレに様々な小物を取り揃える。水瓶、バケツ、小バケツなど。全てシッディベリヤの店から無料で提供された。 トイレの写真をアップする。見てもらいたい。色を塗って少し汚くなったかもしれない。インド人のセンスはよくわからない。 午後、幼稚園のトイレに行く。様々な点でシッディベリヤを上回る出来だ。特に壁が違う。写真をアップ出来れば判りやすいのだが、今日は無理。 費用はシッディベリヤと比べて安いのに、何故こちらの方が出来が良いのか。それは先ず第一に職人の質が高い、との事。シッディベリヤでは地元の職人を雇ったが、今回はNGOお抱えの職人がやってきた。明らかに腕が良い。アマン氏が率いる職人達だ。 また、アマン氏からの個人的な寄贈により、様々な資材が無料で手に入った。近くで別の工事をやっているらしく、そこの工事現場からいくつか持って来たらしい。 壁が綺麗な分少し薄いが凄く良いデキだ。技術と材料でここまで違うのか。 トイレは作る度に、より良いものになって行く。様々な点でよりスムーズに、より効率よく行える様になるからだろうか。俺自身の能力も同じ様に上がって行くと良いのだが。 明日には完成しているだろう、との事。明日は写真をアップしたい。 明日と明後日でインド滞在記は最後となる。
by kakasi0907
| 2005-02-28 03:32
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